ユリ科の二年草。地中海沿岸地帯原産の野菜で、セイヨウネギ、ニラネギなどとよばれる。葉はニンニクに似ているが、それより大形。葉身は扁平(へんぺい)で長さ30~50センチメートル、幅3~4センチメートル、中央脈から左右に折れている。地上には10枚余の葉身が重なって伸び、葉鞘(ようしょう)部は地中にあって太さ径3センチメートルほどのネギの白根状になるが、長さは30センチメートル以下。初夏に花茎が伸び、長さ1~2メートルになり、その先に径7~10センチメートルの球状の花序をつける。花は径約1センチメートル、花色は桃、紅、紫、白色である。多くの黒い種子が実って枯れるが、地中の根元に径1~5センチメートルの栗(くり)状の球根が数個でき、これが秋に発芽して繁殖する。春または秋に苗床に種を播(ま)き、苗を畑に定植。ネギ同様に土寄せして軟化栽培し、白根を冬季に収穫する。ヨーロッパでは古代ギリシア・ローマ時代から広く利用されている。日本へは明治初年に伝来したが、ネギが普及しているためと収量も劣るのであまり利用されていない。[星川清親]