三年毎に浜下りと言って旧暦三月下旬丙日、害虫駆除、当村三大行事の一つとして盛大に行う。この日は各原組の雇は、朝早く鼠を木の枝に四肢結びつけて神に祈り、祝女とともに区長並びに雇は七底の原めぐりをして、祝女は小字毎にゲーシを結び、これをおしたてて海辺に生捕りした鼠をかますに入れくり舟に乗せて沖に流す。この日は出船を吉として、入船を嫌う。鼠はカンカーハイグヮーというところで、アマガターという気の小枝四肢をくくりカヤでつくったクムに包んで祝女に呪わせる。この日朝早く身体の弱い子供が健康になるようにと浜のエーヌ神にお祈りして、その時チュカイ(小麦飯のにぎり)という一口ぐらいの小麦の握り飯をたくさん作って祈願の帰りに出会った人に与えた。村民は朝から仕事を休み、山羊、牛、馬を浜辺へ連れ出し、各家庭では弁当を持参して午後五時頃から帰宅を許された。船入港の時は行事終了後でなければ上陸をゆるされなかった。