先祖に豚の足を料理して供える。
以前、西・東の部落は各原組が競って宮小の前で棒術や舞踊の出演など盛大であった。
一昔前までは粟国でも各家庭でその黒豚を旧正月用に飼育し、神々への生贄として旧正月に捧げ、直合した。
立春の頃は、南海の地でも北風の吹き荒ぶ厳冬の時節で寒い日が続く。その寒風と乾燥を利用して、豚肉は塩漬(スーチキ)して大切に保存した。大晦日に解体された豚は、一昼夜、血抜きのため棹に吊り下げて北風に当て、翌日からは、朝な夕な母親たちが、肉に丁寧に塩を擂りこむ。擂り込まれた豚肉、ソーキ骨(あばら骨)、豚足は蒲葵(ヤシ科・枇瑯)の上におかれ、滴る血や脂を蒲葵の葉を通して流す。およそ一週間塩で揉んで肉に馴染ませ、血と脂分を抜き取った後、豚肉用の甕に漬け込み、熟成するのを待つ。漬け込まれた肉は円熟と深みのある味になる。それが塩漬け肉。二~三ヶ月後からアミノ酸たっぷりの豚肉が食べられる。
粟国では旧正月の三日節句に豚の頭、七日節句に豚の足、二十日正月に尻尾を炊いて供える風習があり、ここにも中国の影響が残っている。