河村只雄著の『南方文化の探究 足で書かれた沖縄民俗誌』は、琉球・台湾の原始的文化・社会を研究して蒐集した民俗学的資料の一部を紀行文的研究論文の形式でまとめたものである。学問的資料を専門学徒のみならず、一般読者が興味を持ち、民俗学的・土俗学的知識を獲得することができるようにと意図されている。日本文化の中には大陸からの流れがあり、主要要素として研究的関心が集注されているが、南方文化の探究がやや等閑視されてきた感がある。南方文化の探究の探究の意義は、日本文化研究に対し、大いなる光明を投ずることであるという、著者の信念がある。