ブックタイトル広報あぐに42号
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広報あぐに42号
(5)平成23年6・7月号あぐに離島振興総合センター気象予報観測降水雲内の雨および雲粒子の観測われわれ名古屋大学地球水循環センターは、降雨・降雪のメカニズムを解明し、気象予報の精度向上のため、長年観測・研究を行っています。今年度は梅雨の時期の降雨を対象に5月20日から沖縄県粟国村離島振興総合センターで観測を行っています。近年、気象予報の精度はよくなってきましたが、集中豪雨や短時間で起こる大雨など、まだまだ改善の余地があります。特に梅雨の時期は気象予測が難しいといわれています。雲の中でどのように雲粒や雨粒が形成され、雲の中にどれくらい存在し、どれくらいの雨が地上にもたらされるのかがよくわかっていない、ということがその原因の一つとなっています。これらを明らかにするため、独自の気象レーダー(写真1)で広範囲の降雨の状況を監視し、気象測器を気球で飛揚させ上空の観測を行います。この気象レーダーは降雨の監視だけでなく、風や、雨粒・雪粒の情報も得ることができる最新型のレーダーです。降雨時には、写真2に示す「雲粒子ゾンデ」と呼ばれるカメラの付いた測器を飛揚させ(写真3)、上空の雲粒をカメラで撮影します。できるだけ多くのデータを取得するために、雨がたくさん降る梅雨の時期の沖縄域で観測を行う必要があり、粟国島を選びました。粟国島は周囲が海で囲まれ、気象レーダーでは「影」となる大きな山や建物がなく、降雨の観測には最適です。現在、気象レーダーを総合センターの屋上に設置して観測を行っています。この観測は京都大学防災研究所が中心となっているプロジェクトの一環として行われ、同じような観測が沖縄県恩納村でも行われています。今回得られた観測データをもとに各大学が連携して解析を行い、雲粒や雨粒が雲の中にどれくらい存在し、どれくらいの雨が地上にもたらされるのかを明らかにします。解析の結果は、気象予測を行うための数値モデルに反映され、気象予報の精度向上に役立てられます。これまで、役場や総合センターの方々をはじめ、島民のみなさまのご協力のもと、無事に観測を続けています。6月の半ばまで観測を続ける予定です。今後もどうかよろしくお願いいたします。写真1写真2写真3