平成25年度粟国村村勢要覧 page 7/48
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概要:
平成25年度粟国村村勢要覧
トゥージ昔から水の乏しい粟国島では、西海岸にある凝灰岩(ぎょうかいがん)をくり抜いた大きな水がめ(トゥージ)に雨水をため、飲料水にしていました。島の西海岸からくり船2隻で挟んで港までは運び、船の帆柱を棒にして5~600人の大人たちが交替で運んだといわれています。生まれたものです。そこには島にあるものを利用して自然災害から暮らしを守る工夫が凝らされています。屋敷を囲むサンゴ石の石垣にしても、無造作に積まれたものではありません。よく見ると石垣は外に対して角を丸粟国島の集落は、古い赤瓦の家やサンゴ石の石垣が残る素朴な集落。沖縄本島周辺の島では、一番残っているのではないだろうか。粟国島の集落は標高の高い南西部のマハナから北東部のウーグの浜へ向かって緩やかに下る傾斜地に広がっています。その前面には豊かな海があり、その海もまた無限のかなたへ続いていきます。周囲12kmという小さい島にもかかわらず解放感を覚えるのは、海へと誘う集落のつくりにあります。島の南西側にある西集落には、昔ながらの風景が残っています。サンゴ石の石垣、フクギの防風林、漆喰で固めた赤瓦屋根の民家など「沖縄の原風景」ともいえる景観は、くし、内側は直角に積まれていることが分かります。これは台風の強い風から家を守るという機能性に加え、内側の空間を最大限に使いながら、外側に対しては柔らかな曲線で集落の風景を穏やかにみせる視覚的な効果を生み出しています。外に優しく、内に強さを秘めた石垣の積み方は、沖縄では処世の心得として「外やまんまるく、内に角たてて、ぐんじゅみ(※2)の如に、浮世わたら」という琉歌にも詠まれています。粟国島の集落の風景は、長い年月を経て、人々の暮らしの営みの中で形づくられてきました。素朴な佇まいには優しさと力強さ、そして歴史を経た誇りが感じられます。夏場に襲来する台風から家を守るための知恵が形になって※1「むんじゅる」とは麦ガラで作った日よけ笠のこと。沖縄のポピュラーな民謡の一つ「むんじゅる節」は、粟国島が発祥の地といわれています。※2ぐんじゅみ…真ん中に四角い穴の開いた円形の硬貨洞寺の入口脇にある石碑は、古くから歌い継がれてきた島唄「むんじゅる節」の歌碑。歌は若者たちの憧れであるむんじゅる平笠をかぶった純情清楚な乙女に役人が恋してしまうという内容を中心に、島の素朴な生活の様子がうたわれています。石碑の右横は、むんじゅる平笠を手に踊る乙女の像です。5